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栄誉賞

平成10年度受賞 石田敏明氏

NOSハウス
JIA新人賞
JIA新人賞(日本建築家協会新人賞)を受賞して
(株)石田敏明建築設計事務所
石田 敏明
 1996年「NOSハウス」でJIA新人賞を受賞しました。受賞前、JIA新人賞は建築規模の大小を問わず、また建築の完成度や洗練度で評価する賞ではなく建築の可能性を広げ、新しい価値観を社会に問う建築家の建築的行為に対して建築家が表彰される建築賞だと私は考えていました。ですから受賞した「NOSハウス」は北海道に建つギャラリー付きの小さな木造住宅ですがノミネートされた時、ひょっとしたら受賞する可能性があるのではと期待していました。その思いが通じて本当にうれしく思っています。審査員の方々からは「新人賞という名にふさわしい作品という意味で、多少の稚拙さよりも新しい考えを打ち出しているものを探す。/作品個人の意思が明快に分かるものを選びたい。/いかなる条件の下でも自己の信念に基づくスタイルを変えずに飽くなきものへの追求を試みるタイプの建築家である。/いかなる条件の下でも自らの形態や空間をいかにピュアに表現しうるかにひたすら関心を抱いている。/地域に対して外側から切り込んで、激しい自然環境と向き合う行為によって自らの作品を磨きあげた。」等々といった有り難い内容の講評を頂きました。このことは経済や政治によって容易に支配される危うく不確実な存在である建築を「建築」として社会の中で成立させるには建築をデザインする姿勢や行為の強さが不可欠であり、デザインのテクニックや表現の奇抜さではないということだと理解しました。

 この住宅は外壁面の約4割がガラス面で被覆されています。北海道南部の道内では比較的温暖な場所に建っていますが真冬は零下になるところです。省エネルギー対策として高気密、高断熱が常識となっている寒冷地ではガラスを多用することは非常識であるといった批判も聞かれましたが、むしろ北海道在住の住むことに意識的な建築家達にとってはこういった建築は大歓迎だといわれました。

その理由は北海道では建築の評価があまりにも性能面や利便性に偏りすぎていてデザインあるいは芸術が本来もっている人間の精神や感覚に関わる部分を評価しようという姿勢が専門家も含めて希薄で、そういった状況にこの建築は一石を投じているからだと聞きました。むろん建築にとって性能面や機能性は重要だと思いますが過度に進んでしまうと何か人間の身体に本来備わっている感覚に関わる部分を見落とす場合もあります。電脳住宅のようなすべて快適さがデータで裏付けされた人工環境のなかでの生活は人間にとって果たして理想的な住まいといえるのか、生きる強さを奪うことにならないか、と思うのです。このような建築的状況は北海道という地域に限らず日本全国で当てはまる事だと思います。

 私事で恐縮ですが昨年、東京に家族の住まいをつくりました。5階建てのビルの4、5階をメゾネット形式にした住宅ですがプランのほぼ中心に2層吹き抜けの屋根と壁がガラスカーテンウォールで被覆された半外部的な土間のような空間をつくりました。文字通り外部に近い空間なのでよく言えば環境に敏感なセンサーのような役割を担っています。そこでは太陽の光や暖かさや青白い光の月光を受けとめ爽やかな風を迎え入れます。雨の降り具合、雪のつもる様子が手に取るように分かります。機能的には無駄なスペースといえるかもしれませんが豊かな自然とは無縁な都会にも僅かに残された自然を観察したり陽射しの変化を通して季節の推移や時間の経過を知る事ができるかけがえのない機能を超えたスペースだと思っています。夏、秋、冬を過ごした生活を通して住宅には性能や機能を超えた身体や精神に働きかける空間が必要だと実感しています。
No.25(平成10年版)五三会会報誌より転載